キーワードは「バランス」|森部 高史

ロルフィング・オフィスKukuna Body主宰

英語学科の先生、卒業生の皆さんいかがお過ごしでしょうか。第44号で登場させて頂いた時は、University of Arkansasの大学院でスポーツ現場で選手の怪我の予防、ケアやリハビリを行うアスレチックトレーナー(ATC)の勉強をしていました。あれから早い物で7年の歳月が流れました。

大学院を修了後は、NFLやMLBといったプロチームで経験を積み、カリフォルニアとニューヨーク州北部の大学でATCとして勤務、その後、英語学科在籍時に交換留学でお世話になり、ATC人生のスタート地点となったハワイ大学に呼び戻され、2012年5月に7年のアメリカ生活にピリオドを打ち、日本に帰国致しました。

現在、ATCとしてはU22男子ラクロス日本代表チームを見ています。日本代表というとあまり縁がないように思われる方も多いかも知れませんが、22歳以下のチームなので、彼らは上智のキャンパスを歩く学生達と同世代です。

しかしながら、そこで「国の名前」を背負う事で生まれる責任感や使命感というものがあり、「自分」という枠から一歩でた時、人は成長出来るのだと彼らを見ていて思います。

僕自身は選手としては到達できなかった場所でしたので、一回り程離れた若者が懸命に駆け回り、外国人を相手に戦う姿は誇らしくもあり、逞しさを覚えます。同時に若さ故に無茶をしてしまう時もあるので、日頃から自分の「身体の声を聞く」習慣を付けるように促し、指導
を行っています。

ATCとしての活動以外では、西麻布にオフィスを構え、ロルフィングという10回の施術を通して身体全体を整えるボディーワークを行っています。対象者はアスリートに限らず、老若男女全ての方。自分の身体で快適な生活を送れるようになるお手伝いです。オフィスに来てくださる方々と時間を過ごしていると、皆さん様々な事に対処して、一生懸命バランスをとろうとしながら日々の生活を行っているのだな、そして人の身体というのは、その人の歴史そのものである、とも感じます。

身体の不調は嫌なもので、痛みが続くのは辛いものです。でもそれは身体が送ってくれているサインなのです。「今までの身体の使い方は自分の体にはフィットしていないよ。違うやり方が必要だよ」、そんなメッセージをどう捉えるか、「肩が重いな、嫌だな」と思っていると不思議と身体は本当に動かなくなってしまうものです。現状を受け入れ、どうしたらそれが変わって行くかを具体的に行動に移して行く事で見える景色が変わってきます。

また、現代社会では心の病に悩む方も少なくありません。身体と心は密接に繋がっています。身体を整える事で心が整う事もあり、その逆も然りです。実際にクライアントの方が10回のシリーズセッション後半に入って来ると明るくなったり、ポジティブになったりというケースを目の当たりにすると一層その繋がりを強く感じます。

物事を上手く進めるキーワードは「バランス」だと思います。バランスは「とる」ものでなく「とれている」もの、バランスをとろうとしている時は既に何かが崩れているのかもしれません。この“Doing”が“Being”になった時、自分という軸を持ちながら、身体も心も解放された伸びやかなライフスタイルが体現されるのだと思います。
それはこれをやればできる、というものではなく、日常を少しずつ大切にしていくことで、振り返るとその場所にいつの間にかいる、というものなのではないでしょうか。
最後に自分の身体のケアをされたのはいつですか?世界に一つしか無い自分の身体、しっかりと感じて大切にしてあげてください。

英語学科を出て、こういう分野にいる人は珍しいのかとも思います。何かお力になれることがあればご連絡を頂ければと思います。それでは今日も伸びやかな一日を。

メール: info@kukunabody.com
ホームページ: www.kukunabody.com

森部 高史(2000年卒業)
ロルフィング・オフィスKukuna Body主宰

英語学科同窓会 上智大学文学部英語学科および米語学科、ならびに 外国語学部英語学科の同窓生間の親睦をはかることと あわせて、上智大学、そして英語学科の発展のために 1983年(昭和58年)に設立されました。通称SELDAA(Sophia English Language Department Alumni Association)です。